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相続税申告の知識
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「贈与税」について

更新日:

FMちゅーピー「円満相続安心くらぶ」(令和2年2月21日)」に出演しました。

ラジオ出演内容

FM ちゅーピー

毎月第3金曜日のこの時間は、「円満相続安心くらぶ」のコーナーです。
誰でもいつかは経験する「相続」に際し、愛する家族が争うことなく、円満に、そして相続後はさらに幸せになれるように、相続開始までの準備や相続に関する豆知識などについてご紹介します。

FM ちゅーピー

お話をお伺いするのは、円満相続支援士、税理士法人タカハシパートナーズの寺尾 大介(てらお だいすけ)税理士です。

寺尾大介

ラジオをお聞きの皆さん、こんにちは!税理士法人タカハシパートナーズの寺尾です。

FM ちゅーピー

寺尾さん、よろしくお願いします。
さて、本日はどんなお話をしてくださいますか。

寺尾大介

本日は、「贈与税」についてご説明したいと思います。

FM ちゅーピー

「贈与税」はこれまでも何度か話題に出てきましたが、相続税と密接に関係しているんですよね。

寺尾大介

はい、そのとおりです。まず、根本的なこととして、「贈与税法」という法律はなくて、贈与税の規定は、「相続税法」の中に含まれているということです。

寺尾大介

このことが何を意図しているかというと、相続によって財産を取得した場合、その財産に対して相続税が課税されますが、生前に配偶者や子供に財産を贈与しておくと、その分相続財産が少なくなり、相続税がかからなくなったり、少ない税負担で済むことになります。
この結果、生前に贈与した場合としなかった場合で税負担に著しい不公平が生じることになるため、相続税で課税されない部分を贈与税でカバーするという目的で贈与税が相続税法の中に規定され、連携する形で運用されています。
このため、「贈与税」は「相続税の補完税」と言われています。

FM ちゅーピー

なるほど、贈与税にはそういう役割があるんですね。

寺尾大介

はい。そして、この「贈与」は、民法で規定されている契約行為で、その条文には、一方が財産を「あげましょう」という意思表示をして、その財産を受ける相手が「もらいます」という承諾をして初めて成立するものとされています。
ですから、一方的に「あげたつもり」や、「もらったつもり」では成立しないということですね。

FM ちゅーピー

この「意思表示」というのは、例えば贈与契約書みたいな書類を作成する必要がありますか。

寺尾大介

贈与はお互いの意思が合致すれば成立しますので、口頭契約による贈与も認められています。これは、別の条文で「書面によらない贈与は、履行されているものを除き撤回することができる」と規定されていることからも読み取れるものです。

FM ちゅーピー

なるほど、契約書はなくてもいいということですね。けど、契約書がない場合、履行されていないものは撤回できるとのことですが、この履行というのはどういう状態と考えたらいいですか。

寺尾大介

履行というのは、例えば不動産であれば、登記の名義変更が行われたこと、預金などは相手の口座へ振り込まれたことで履行された、つまり贈与する相手に支配権が移った時に贈与が成立したと言えます。

FM ちゅーピー

相手に支配権が移ったことで贈与が履行されたと判断するんですね。

寺尾大介

はい、ですが、ここで注意しないといけないのが、以前にも何度かお伝えしましたが、例えば、おじいちゃんやおばあちゃんがお孫さんの将来のために預金口座を作ってあげて、自分の口座から預金を移動させていたとしても、その通帳や印鑑などをおじいちゃんやおばあちゃんが持ったままで、お孫さんが自由に使うことができないということであれば、支配権が移っているとは言えませんので、贈与が履行されていないと判断され、おじいちゃんおばあちゃんの相続の時には名義預金として相続財産に加算される可能性があります。

FM ちゅーピー

そう言えば、以前に聞いた覚えがあります。

寺尾大介

これまでに話を聞いた方の多くは、子供さんやお孫さんに一度に大金を渡してしまうと、いらないことに使ったり、一生懸命働かなくなったり、悪銭身につかずという言葉のように、良くないことになってしまうのではと考えて、通帳を渡さないで管理しているということをおっしゃられます。

FM ちゅーピー

その気持ちはなんとなく分かります。

寺尾大介

はい、でも、そうなるとやはりもらった方が自由に使えない状態なので、支配権が移っているとは言えませんし、なにか急にお金が必要になった時には、その口座から出金して使うこともできてしまいます。
つまり、贈与の撤回ができてしまうんですね。ですから、本当にあげるつもりなら、子供さんやお孫さんを信用して、通帳も印鑑も完全に渡してしまうことがベストです。

FM ちゅーピー

それが預金の場合の贈与の履行ということですね。

寺尾大介

はい、そのとおりです。これらの意思表示によりはっきりと贈与と分かるものは、「本来の贈与財産」などとも呼ばれていますが、これに対して、相続税法の規定の中で贈与として取り扱う「みなし贈与」というものもあります。

FM ちゅーピー

「みなし贈与」ですか。

寺尾大介

はい、例えば、親子間で時価よりも安く土地を売買したり、借金をもう返さなくていいよと免除したり、親がかけていた保険の満期保険金などを子供が受け取ったりというような場合には、贈与したつもりはなくても贈与とみなされ、贈与税が課税されることがあります。
つまり、無償でそれだけの経済的な利益を受けたということで、贈与と同じことだと判断されて課税されるということですね。

FM ちゅーピー

親子間ではよくありそうなことなので、気をつけないといけませんね。

寺尾大介

そうですね。特に親子間の借金は、最初のうちはしばらく返済を続けていたとしても、そのうちある時払いの催促なしの状態になって、ついにはうやむやに、ということもよくあるケースだと思います。
こういうところを税務署はきっちりと指摘してきますので、親族間の場合はより適正にしておく必要があります。これも相続税が課税漏れにならないための、贈与税の役割といえるでしょう。

FM ちゅーピー

なるほどですね。

寺尾大介

また、贈与ではあっても、贈与税がかからない非課税財産もあります。例えば、生活費や教育費などの通常必要と認められる金額のものや、社交上、社会通念上相当と認められる範囲のお小遣い、お祝い、香典、お見舞いなどです。

FM ちゅーピー

一般的なお小遣いやお年玉などもそういったことで税金がかからないということですね。

寺尾大介

はい、そうですね。このほかにも、贈与者が亡くなった年の相続人への贈与については、贈与税ではなく、相続税がかかるので、贈与税は非課税とされています。
なお、相続税の税務調査においては、相続財産の調査はもちろん、贈与税の課税漏れはないか、という視点でも調べますので、その時になって贈与税を払うように指摘されないよう気をつけておく必要があります。

寺尾大介

当所では相続税の申告書を作成する際に、税務調査と同じ視点で、過去の預金の動きなどをチェックして、名義預金がないか、贈与の申告漏れがないかなどを確実に検討して、適正な申告をしていただくようにしています。

寺尾大介

この結果、平成27年以降300件以上の相続税の申告書を提出していますが、税務調査があったのはたった1件で、しかも調査結果は是認といって、問題なしという結果でした。

FM ちゅーピー

えーっ、それはすごいですね。今日のお話しで、贈与税と相続税が密接に関係していることがよりよく分かりました。寺尾さん、本日もありがとうございました。

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