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相続の知識
KNOWLEDGE

国外転出時課税制度について

更新日:

FMちゅーピー「円満相続安心くらぶ」(令和3年11月19日)」に出演しました。

FM ちゅーピー

毎月第3金曜日のこの時間は、「円満相続安心くらぶ」のコーナーです。
誰でもいつかは経験する「相続」に関し、愛する家族が争うことなく、円満に、そして相続後はさらに幸せになれるように、相続開始までの準備や相続に関する豆知識などについてご紹介します。

FM ちゅーピー

お話をお伺いするのは、円満相続支援士、税理士法人タカハシパートナーズの 寺尾 大介(てらお だいすけ)税理士です。

寺尾大介

ラジオをお聞きの皆さん、こんにちは!税理士法人タカハシパートナーズの寺尾です。

FM ちゅーピー

寺尾さん、よろしくお願いします。
さて、今日は、どんなお話をしてくださいますか。

寺尾大介

本日は、「国外転出時課税制度」という、日本にずっと暮らしていく予定の方には全く関係ない課税制度についてご紹介したいと思います。

FM ちゅーピー

国外に転出される方への課税、ということでしょうか。

寺尾大介

はい、平成27年度の税制改正で、「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」と、「贈与、相続、遺贈により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得の特例」が創設されましたが、これらを総称して「国外転出時課税制度」と呼んでいます。

寺尾大介

この課税制度ができた背景としては、含み益のある株式を保有したまま株の譲渡利益が非課税の国に転出し、そこで売却して課税逃れをするという、ご記憶にある方もいらっしゃると思います「武富士事件」を初めとした、富裕層の日本と外国との課税方法などの違いを利用した租税回避を防止するための措置として創設されました。

FM ちゅーピー

なるほど。で、「国外転出時課税」とは、どんな制度なんですか?

寺尾大介

はい、「国外転出時課税」とは、国外転出をする日前10年以内において国内に5年を超える居住期間があり、1億円以上の有価証券等の対象資産を保有している方が国外に転出する場合や、国内居住者から国外居住者に贈与又は相続により対象資産の移転があった場合に、その資産の譲渡があったものとみなして、その含み益に対して所得税を課税する制度です。

FM ちゅーピー

含み益とはなんですか。

寺尾大介

含み益は、その有価証券を、例えば100万円で取得したとして、値上がりして現在の価値が500万円になっていたとすると、400万円の値上がり益がありますが、この値上がり部分のことをいいます。

寺尾大介

通常、保有しているだけでは、値上がりがあったとしても譲渡しないかぎりその値上がり益は実現しないので課税されないのですが、今回の国外転出時課税では、含み益のある有価証券を保有したまま日本から国外に転出する場合、出国日に譲渡があったものとみなして所得税を課税し、いったん含み益を清算して日本から出て行ってもらうようになりました。

FM ちゅーピー

なるほど。でも、それだけの有価証券を保有しているかどうかはどうやって確認するんですか。申告せずに国外に行ってしまったら、どうなるんですか。

寺尾大介

萩原さん、するどいですねぇ~。
実はこの制度と同時に、平成27年度の税制改正で「財産債務調書制度」というものが施行されています。

寺尾大介

これにより、平成28年1月以降、年間所得が2,000万円を超え、かつその年の12月31日において、3億円以上の財産又は1億円以上の国外転出特例対象財産を保有する方は、その財産内容を記載した「財産債務調書」を提出しなければならないこととなりました。

FM ちゅーピー

ちゃんと漏れがないようにしてるんですね。

寺尾大介

また、この「財産債務調書」以外にも、平成24年度の税制改正で、平成26年1月から「国外財産調書」というものも提出が義務付けられており、その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を保有している方が対象となっています。

寺尾大介

ここでいう「国外財産」とは「国外にある財産」が対象で、外国の金融機関での取引はもちろん、不動産や動産など、国外の資産価値のあるものすべてが対象となりますので、漏れなく記載する必要があります。

FM ちゅーピー

もし、これら「財産債務調書」や「国外財産調書」の提出をしなかったり、記載漏れがあった場合はどうなりますか。

寺尾大介

いずれも提出期限が翌年の3月15日となっていて、「国外財産調書」については、偽りの記載をして提出した場合や理由なく提出期限内に提出しなかった場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課されることもあります。

FM ちゅーピー

えーっ、そんなに厳しい規則になってるんですね。

寺尾大介

そうなんです。さらに、どちらの調書についても、提出がなかった場合や、記載漏れがあった場合で、その方が税務調査を受けて、対象財産について修正申告などがあった場合には、通常の加算税に5%追加される措置もあります。

FM ちゅーピー

加算税が増える、ということですね。

寺尾大介

逆に、きちんとこれらの調書を提出していた場合で、対象財産について修正申告があった場合には、通常の加算税から5%軽減されるという優遇措置もあります。

FM ちゅーピー

なるほど、アメとムチ的なことですね。

寺尾大介

そうですね。こういった取り扱いから、国外財産への課税について、当局がかなり本気であることが伺えると思います。

FM ちゅーピー

ほんとですね。

寺尾大介

国外転出時課税に話を戻しますと、その申告手続きの仕方は2つあって、まず、国外転出をする日までに準確定申告書の提出と納税をするという方法と、もう一つは国外転出の時までに「納税管理人の届け出」を行い、その納税管理人により確定申告をしてもらう方法です。

寺尾大介

そして、この「納税管理人の届け出」をした場合には、納税猶予といって、5年または10年以内に帰国するまで納税を猶予、つまり税金の支払いを待ってもらえる制度を使うことができます。

FM ちゅーピー

ということは、数年後に帰国する予定であれば、この納税猶予を使えば、税金を払わなくてもいいということですね。

寺尾大介

簡単に言うと、そういうことです。帰国して4か月以内に手続きをして、出国前から引き続き所有している対象資産については、国外転出時課税のみなし譲渡がなかったものとして再計算をして、納税額の清算をすることとなります。

寺尾大介

また、納税をしていた場合でも、国外転出の日から5年以内に帰国した場合には、帰国して4か月以内に更正の請求をすることにより、出国する前から引き続き所有している対象資産については、国外転出時課税のみなし譲渡がなかったものとして再計算をして、納税額の還付を受けることができます。

寺尾大介

最初にも言いましたが、この課税制度の狙いは、国内で蓄積した含み益の課税逃れを防止することですので、国外にいる間に対象資産を売却せずにそのまま持っていた場合には、あえて課税する必要はないということですね。

FM ちゅーピー

なるほど、該当しそうな方は気を付けないといけない制度ですね。
寺尾さん、本日もありがとうございました。

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